KNT-CTホールディングス通期決算、赤字縮小 227億改善 


米田社長

BPO好調、23年度は黒字40億見込む

 KNT―CTホールディングス(HD)が12日に発表した2022年3月期通期決算(21年4月1日~22年3月31日)の連結純損益は、57億7100万円の赤字(前期284億5600万円の赤字)となった。3期連続の赤字決算となるも、前期から226億8500万円を改善し、赤字額を大幅に圧縮。ワクチン、PCR検査の事業を170を超える自治体から受託するなど、BPO事業や雇用調整助成金の収入増、人員整理、店舗削減などコスト削減、資本施策に取り組み解消した。23年3月期は40億円の純利益を見込む。

 売上高は、前期比59.2%増の1399億5700万円、営業損益は76億8600万円の赤字(前期は270億8200万円の赤字)、経常損益は38億8600万円の赤字(前期は167億2700万円の赤字)だった。前年から売上高を大幅に拡大するとともに、固定費を前期から18億円、コロナ前の19年度から174億円削減した。

 四半期別では、第4四半期単独(1~3月)の営業利益が第3四半期に続き黒字(7千万円)を達成した。

 旅行事業はGo Toトラベル事業の再開が見送られたことで、旅行需要の大幅な消失状況から抜け出せなかったが、県民割や隣県割など助成金を活用したツアーの催行を増やした。

 近畿日本ツーリスト(KNT)では、10月にサステナブルな旅への強化として「KNT ハイクラスサイト Blue Planet」、11月にウェブ上でアバターが接客するサービス「旅のアバターコンシェルジュ」を開設した。東京オリンピック・パラリンピックではバス輸送の主幹業務を担った。

クラブツーリズム(CT)では、10月からKDDIと業務提携を行い、趣味をオンラインで深められるサブスクリプションサービス「クラブツーリズムパス」を開始した。

 このほか、オンデマンド印刷のプリンティング事業、コンタクトセンター受託事業などの新規事業に着手した。

 一方、費用面では事業構造改革を推進。KNTの個人旅行店舗および団体旅行支店を58カ所、CTの旅行センターを9カ所、同社ほか4社の本社事務所を閉鎖、縮小するなど、人件費、事務所賃借料その他の費用削減をした。

 自己資本比率は、前期の15.4%のマイナスから改善し、23.7%に。総資産は6月30日付で実施した総額400億円の第3者割当増資による現金および預金の増加などで1023億4100万円に。純資産は、96億5400万円減少し、243億1500万円となった。今期の年間配当は未定。

 23年3月期通期決算予想は、売上高が2590億円、営業利益が40億円、経常利益が40億円、純利益が40億円。

旅行、新規を1対1 資本減額1億に

 同日に開かれた決算会見では、黒字化に向けて米田昭正社長が、「営業利益の黒字化は必達。旅行事業と新規事業の割合を1対1にしていきたい」と話した。約200の自治体と関係性構築を図るなど、好調なBPO事業などを推進しながら、リスクに強い経営体制を作り、黒字決算を目指す方向性を示した。

 コロナ禍前(18年度)からの回復予測については、「国内旅行はKNT個人が70%、CTは100%。海外はKNTが25%、CTが10%」と想定を披露した。コスト削減における人員削減については、「23年度末までに約400人の自然減で4500人強を予想している」と述べた。

 また、資本金を80億4153万円から1億円に減額することを発表。三宅貞行専務は「資本政策の柔軟性、機動性を高める手段。減少する資本金の全額は、その他資本余剰金に振り替える」と説明した。


米田社長

 
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